東京都千代田区 最終更新日 2023年03月27日
最終更新日 2023年02月28日
資本政策とは、株式移動、第三者割当増資、組織再編などで、資金調達、資本構成の最適化、インセンティブプラン、創業者利潤、事業承継対策などを実現することです。
資本政策とは、株式によって集める資本と、資本の提供者である株主の構成を計画・検討することです。
株式会社は会社の株式を発行し、株主から資金を得ることができます。そのかわり、株主は株主総会などで会社の経営に参加することが可能となります。そのため、株主が多くなればなるほど、会社運営の意思決定は難しくなっていきます。
また、大量の株式を持つ株主が現れた場合、経営のコントロールを失う場合もあります。そのため、「調達資金」と「経営の裁量権」の両者のバランスを取ることが、資本政策のポイントになります。
具体的には、以下の3点が資本政策の重要な要素になります。
①資金調達
誰から、どれ位の金額を、いくらの株価で資金調達するのか?
②持株比率
オーナー(もしくは経営陣)の持株比率をどの程度確保しておくのか?
③キャピタルゲイン
オーナー個人のキャピタルゲインをどの程度見込むのか?
この3つの要素を、将来にわたってどのようにバランスさせるのかが資本政策のキモになります。資金調達を重視するのであれば持株比率・キャピタルゲインをある程度抑える必要があります。オーナーが過半数の持株比率を確保したいのであれば、資金調達やキャピタルゲインを抑える必要があります。
上場準備企業では、上記3つの要素に加えて「役員・社員へストックオプションをどの程度与えるか?」 「事業承継を見据えた節税対策をどうするか」という点も考慮に入れる必要があります。
資本政策の意義は、IPOやM&Aまでのプロセスを具体的にし、企業が確実にステップアップすることにあります。具体的な目的としては、以下があげられるでしょう。
①持株比率を維持しながら株式等を用いて資金調達をする
②社長にキャピタルゲインで大きな利益をもたらす
③ステークホルダーのメリットを考え、企業に貢献してもらう
④株式上場後の株価対策を行う
⑤事業承継や相続の対策を行う
1.前提条件の立案
資本政策は事業計画とセットで作ります。先ずは粗くてもいいので、上場までの事業計画(利益計画)を立てます。 具体的には、上場までの会社の成長イメージ、必要な事業資金、上場時の時価総額・公開価格のイメージを作ります。 それに合わせて、いつ上場するのか、どの市場で上場するのか検討します。
2.内部の資本政策の立案
上場後のオーナー家の持株比率をどの程度維持するのか検討します。株主総会では株主が所有する株式数に応じて議決権が与えられますので、 事前にオーナー家の持株比率の計画を立てておくことが上場後の経営権の安定に繋がります。 また、親族への贈与や資産管理会社等による相続対策もこのタイミングで検討します。
3.外部の資本政策の立案
役員・社員など、オーナー家以外の関係者に関わる資本政策を検討します。
1.ストック・オプション(SO)の導入
社員に対して、あらかじめ定められた「価格」「数量」「期間内」に株式を購入できる権利を付与する方法です。ストック・オプションをもらった社員は、会社が上場した後にストックオプションを権利行使して株式を取得し、その株式を市場等で売却することによって利益を得られます。
2.従業員持株会の設置
従業員が容易に自社株式を取得できるようにする方法です。持株会に加入している従業員の給与・賞与から自社株の取得用に少額を天引きし、その資金をもとに持株会が自社株を購入する仕組みとなっています。
3.第三者割当増資の実施
特定の第三者に対して、新株を引き受ける権利を付与し増資する方法です。一般的には、自社の役員・金融機関・取引先など、自社と関わりのある人・企業に付与します。
4.種類株式の発行
普通株式とは異なる内容を持つ株式を発行します。種類株式には、配当の優先権や残余財産の分配の優先権が付いたものなどがあります。権利の内容に経済価値があれば、普通株式より高い株価で購入してもらうことも可能です。
1.ステークホルダーの立場で考える
資本政策では、ステークホルダーの相反する考えが前提としてあります(例:株式を高く買ってもらいたい社長と、安く売ってもらいたいベンチャーキャピタルなど)。従って、達成のためには、各ステークホルダーの立場になり、どういった利害があるのか常に考えるのが重要です。
2.客観性な株価を設定する
株価設定あたっては、直接売買に関わる者同士はもちろん、既存の株主などにも配慮した価額にする必要があります。DCF法や純資産法など複数の計算方法を用いて、客観性のある株価を算定することが重要です。
3.法規制を遵守する
未上場企業が第三者割当増資や株主割当増資など増資を行うとき、次のケースに当てはまる場合は、金融商品取引法で定められた書類を提出する必要があります。
発行価額と人数 | 提出書類 |
発行価額の総額が1億円以上、かつ勧誘人数50名以上 | 有価証券届出書 |
発行価額の総額が1億円未満、かつ勧誘人数50名以上 | 有価証券報告書 |
募集等開始1年前に同様の募集を行い、発行価額の合計額が1億円以上である | 有価証券届出書 |
募集等開始6ヶ月以内に同様の募集を行い、その合計人数が50名以上、発行価額の合計額が1億円以上 | 有価証券届出書 |
資本政策は、IPO(株式上場)やM&Aを目指す会社に止まらず、非上場の同族会社にとっても極めて重要です。しかし、非上場の同族会社では株式の課題を意識しなくなりやすい傾向があります。その理由は、非上場の同族会社の株主は、親族で占められおり、そもそも外部株主を意識する必要がありません。また、相続も頻繁に発生するわけではありません。資金調達についても、多くの場合、銀行借入により行われます。そのため、株主構成が固定化されており、普段の経営において、株式の課題に対する意識が希薄化しがちです。
一方で、資本政策を怠ってしまった結果、業績は非常に良いが、株式が分散して、経営者の持ち分比率が数%という非上場企業もたくさんあります。このような状態では、何か問題が起きたときに、経営者が機動的に重要な意思決定をすることができません。このような事態を避けるためにも、株式の分散を防ぎ、集約化を進めていくことが重要です。
同時に、相続など発生時に、後継者へのスムーズな移動を事前に検討しておくことが必要です。
M&A 22件
IPO(株式上場) 7件
非上場の同族会社 123件
合 計 152件
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代表取締役 社長兼CEO
代表パートナー 清水一郎
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<学歴>
東京大学院 博士(法学)
一橋大学院 修士(経営学)MBA
慶応義塾大学院 修士(経済学)
早稲田大学院 修士(心理学)
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<職歴>
大蔵省(官僚)、等松青木監査法人(会計士補・公認会計士)を経て上場企業3社で役付取締役を30年受任
CFO (最高財務責任者)
CLO (最高法務責任者)
CHO (最高人事責任者)
COO (最高執行責任者)
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戦略経営、販売、マーケティング、組織、人事、法務、会計、税法、
金融、経済、人材育成、コーチング
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