最終更新日 2024年06月23日
本稿執筆時、新型コロナウイルス感染症の影響で1年延期となった「東京2020オリンピック競技大会」が終了した一ヶ月後です。日本人メダリストのインタビューを聴いていると『努力は必ず報われる』とか『努力は決して裏切らない』という発言に違和感を覚えました。
男子体操の内村航平選手は得意の、種目別鉄棒の演技中に鉄棒から手が離れて落下し「予選落ち」しました。史上最高の体操選手とされる内村選手は、これまでのオリンピックで計7個のメダルを獲得しています。2012年のロンドン大会に続き、2016年のリオデジャネイロ大会においても、男子個人総合を2連覇し、44年ぶりとなる偉業を達成しています。内村航平選手は、努力不足が原因で「予選落ち」したのでしょうか?
スポーツに限らず、学校の入学試験、資格試験、また人生途中過程においては数多くの勝負の時があります。勝つこともあれば、負けることもあります。「勝つも負けるも時の運」という諺もあります。勝敗は、人知では計りがたい何物かに支配されているものだと考えます。
勝敗は、何に支配されているのでしょうか?
「運も実力のうち」という諺があります。
「才能」や「努力」があるから必ず勝つのではなく、「運」が良かったことで「努力」が「勝利の因」になって表面化すると私は考えます。
勝負に勝つためには「運」の有無が大きな要素を占めると考えます。
事業の勝敗は、才能・努力に加え
「運」の有無が大きな要素になる!
経営の神様といわれている松下幸之助 氏は、「成功するかどうかは90%が運」であると述べています。
松下幸之助 氏は次のように語っています。
『もっとも、わしのこういう考えに反対する人もおるやろうけど、その人はその人でええわけや。なかなか力強い人であると。人間には運はない。すべてがその人の力であると。実力であり、努力が人生のすべてを切り開くんやと考える人もおるやろう。まあ、そこまででなくとも努力が大きいと、運命は小さいと、そう考える人もおるんやろうな。けどな、そう考えるとすれば、人間は努力すれば、必ず成功するということになるんと違うやろうか。
しかし、実際は決してそういうことではないわね。人生、すべて自分の意のままに動かせるということはない。それは、ひとつの運命をそれぞれが担っておるからやな。成功するためには努力しなさいという。けど、努力したと。一生懸命努力したと。あの人と同じように努力したと。けど、あの人は成功したけど、自分は失敗したと。そういう場合もあるな。それは、努力が足らんかったとは言い切れんことがある。ひとつの運命として考えんといかんわけや。』
松下幸之助 氏 「成功するかどうかは90%が運」
松下幸之助 氏は、採用試験面接の最後に「君は運がいいか?」と質問していました。学歴や筆記試験、面接試験の成績がどれだけ良くても、「運が悪いです」と答えた人は、躊躇せずに「不採用」にしていたという話は、あまりにも有名です。
松下幸之助 氏の話しの続き。
『それならば、努力せんでいいのか、汗を流さんでいいのかということになるけどな、また、これも間違いやな。わしは、運命が100パーセントと言ってはおらん。決してそうではないのであって、90パーセントやと。ということは残りの10パーセントが人間にとっては大切だということになる。いわば、自分に与えられた人生を、自分なりに完成させるか、させないかという、大事な要素なんだということや。
ほとんどは運命によって定められているけれど、肝心なところは、人間にまかせられているのかもしれん。
たとえば船があって、自分が大きい船か、それとも小さい船か、それはそれぞれの人にとってひとつの運命かもしれんが、肝心の舵のところは人間にまかせられておると。無事その船が大海を渡り、目指す港に着くことが出来るかどうか。残りの10パーセントがその舵の部分であるということやな。
鷹がスズメになろうとしても、スズメが鷹になろうとしても、それは運命であって、変えることはできんな。そこは見極めんといかん。けど、鷹は鷹なりに、スズメはスズメなりに一生懸命に生きる、懸命に努力はせんといかん。そこに、それぞれが成功する道も開けてくる。運命と努力という、船と舵の関係やな。
だから、運命が、運が90パーセントだから、努力せんでいいということにはならんね。そして努力したから、必ず成功すると考えてもあかんよ。けど、成功するには必ず努力が必要なんや。そういうようなことを、きみ、理解しておれば、自分に与えられた人生を謙虚に受け入れ、かつ力強く歩いて行くことができるよ。人生に傲慢になったらあかん。』
人間の成功・失敗の要素が「運」にあるとした場合、血の滲むような「努力」をする必要はないのか、汗を流す必要はないのかと、いう意見も出てくるでしょう。しかし、これも正しくはありません。
幸之助 翁は、「運命が100%」とは、決して言っていません。「運命が90%」だと仰っています。残りの10%が人間にとって、非常に重要な部分だということになります。それは、自分に与えられた人生を、自分なりに完成させるか、させないかという、大事な要素になることを教えられています。
故に、人生の90%は「運命」によって定められていたとしても、肝心な部分(残りの10%)は、人間に委ねられているものと解します。
従って「運が90%なので、努力はしなくてもよい」あるいは「努力したから、必ず成功する」という両極端な考えを否定します。人生や事業に成功するためには、人の3倍の努力と運の両方が必要であると理解していれば、自分に与えられた人生を謙虚に受け入れ、かつ力強く歩んで行くことができます。
この幸之助 翁の至言は、事業においても、人生においても「傲慢」になってはならないということを、わたしたちに教えてくださっているものと思料いたします。
2022年04月02日
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/会計士補・公認会計士・税理士)
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博士(経営学)一橋大学大学院 経営管理研究科 博士後期課程修了
修士(経済学)慶應義塾大学大学院 経済学研究科 博士前期課程修了
修士(心理学)早稲田大学大学院 人間科学研究科 博士前期課程修了
<登録可能資格>(現在、未登録の資格)
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