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最終更新日  2024年04月14日

後藤新平の人材育成

後藤新平の人材育成。関東大震災後の帝都復興計画を立案した、医師・官僚・政治家。

関東大震災から100年

100年前の本日、1923年(大正12年)9月1日、午前11時58分、
神奈川県西部(または相模湾北西部)を震源とするマグニチュード7.9の関東大震災が発生した。
 
この地震により、震源付近の神奈川県内を中心に、南関東一帯の広い地域で、家屋の倒壊や、火災、津波などによる大きな被害が出た。死者・行方不明者は約10万5千人、このうちの約88パーセントにあたる約9万2千人は火災による犠牲者だったといわれている。
 
帝都・東京では、各所で発生した火災(約100箇所で出火があったといわれている)が、強風を受けてすさまじい勢いとなって広がった。この大火災は9月3日の午前まで続き、東京市域の面積の約44パーセントが焼失したといわれてる。関東大震災は、東京市(現在の東京23特別区)の半分近くを焼け野原にした。
 
今から100年前に、時代をこえた事業構想力をもって、東京を世界に通用する偉大な都市に改造しようと「見果てぬ夢」を追いかけた男がいた。彼は、それまで思いもつかなつかなかった、人の生命と健康を守る『人間中心』の機能を備えた「都市づくり」をこのとき既に構想した。
 
その男は、医師であり官僚・政治家であった 後藤 新平だ。<ごとう しんぺい:1857年(安政
4年)~1929年(昭和4年)、出生地は現在の岩手県奥州市水沢)>
 
私が後藤 新平の存在を知ったのは、高校時代の日本史の授業だった。以来、私は後藤に心服し、彼の影響を強く受けてきた。
 
後藤は、台湾総督府民政長官、南満洲鉄道(満鉄)初代総裁、逓信大臣、内務大臣、外務大臣、東京市第7代市長、ボーイスカウト日本連盟初代総長、東京放送局(のちの日本放送協会・NHK)初代総裁、拓殖大学第3代学長などを歴任した。
 
後藤は東京市長時代に「都市には4つの敵がある。 社会、国家はこれを退治しないとよくならない」として「貧困」「疾病」「無知」「無慈悲」を挙げ、対策に取り組んだ。
 
計画の規模の大きさから「大風呂敷」とあだ名された。植民地経営者であり、都市計画家であった。台湾総督府民政長官、満鉄総裁を歴任し、日本の南方・大陸進出を支え、鉄道院総裁として国内の鉄道網を整備した。

帝都復興計画を立案・推進した後藤新平

関東大震災後、復興された東京・昭和通り江戸橋付近

後藤は関東大震災後に内務大臣兼帝都復興院総裁として、東京の帝都復興計画を立案・推進した。彼は「焼土の全てを公債の発行により買い上げ、100m 弱の幅員と中央に緑地帯を持つ広大な街路を新しく建設し、整理後にそれらを払い下げる」という、膨大な費用を伴う壮大な復興案を掲げた。

後藤が提案した「焼土の買い上げ」は実現しなかったものの、焼失区域では精力的な都市整備が進められた。後藤は後に訪れるモータリゼーション時代を見通しており、この先見性は特筆に値する。

都市を復興するうえでは、被災直後に発生するニーズのみならず、将来の中長期的な都市・社会・生活のありかたを展望する構想力が強く求められるが、これを示唆するエピソードと言える。 畦道(あぜみち)のまま市街化した近世のまちは、土地区画整理事業によって幅員4m 以上の生活道路や上下水道・ガス等のインフラ整備がなされ、またオープンスペースや防災公園が分散的に配置され、不燃化された鉄筋コンクリート製の小学校と震災復興橋梁が並ぶ近代都市へと生まれ変わった。

道路建設は無秩序な市街地の再現を恐れ迅速に行われたが、その際は従来までの都市建設における道路構造の主流であった格子状道路でなく、自動車の通過交通効率の良い放射環状路が計画・建設された。 南北軸としての「昭和通り」、東西軸としての「靖国通り」、環状線の基本となる「明治通り」などが建設された。

当初の案では、主要街路の幅員は広い歩道を含め70mから90m、中央または車道・歩道間に緑地帯を持つという大規模な構想で、自動車が普及する以前の時代ではその意義が理解されにくかった。 いまだ記憶に新しい「3・11」東日本大震災。不幸だったのは、天災と人災とが重なったことだ。

さらに残念なのは、関東大震災のときのような斬新な復興計画が国からも地方からも出てこないし、それを実行する『自ら泥をかぶれるリーダー』が現れないことであろう。いま後藤新平という人物に、時代のスポットライトがあたろうとしている。

政治家としての後藤新平は『政治は、万民のためを判断基準とする王道を歩むべきで、権謀術数による覇道は排すべきだ』との言葉を残している。 後藤は医師としても高い評価を受けた。

1882年(明治15年)、愛知県医学校(現・名古屋大学医学部)の医師としての実績や才能を見出され、軍医の石黒忠悳に認められて内務省衛生局に入り、医者としてよりも官僚として病院・衛生に関する行政に従事した。 1890年(明治23年)、ドイツに留学。西洋文明の優れた部分を強く認める一方で同時にコンプレックスを抱くことになったという。帰国後、留学中の研究の成果を認められて医学博士号を与えられ、1892年(明治25年)には内務省衛生局長に就任した。 

徹して人材の招聘に力を注いだ後藤新平

アメリカ合衆国から新渡戸稲造を招いた際には、病弱を理由に断る新渡戸を執務室にベッドを持ち込むことなどの特別な条件を提示して結局承諾させている。スカウトされた新渡戸は、殖産局長心得、臨時台湾糖務局長として台湾でのサトウキビやサツマイモの普及と改良に大きな成果を残した。また、生涯の腹心となった中村是公と出会ったのも台湾総督府時代であった。
 
欧州留学中に知り合った林学者の河合鈰太郎を招聘し、河合は阿里山の森林資源調査、ひいては阿里山森林鉄路の開通に多大な成果をもたらしている。
 
衛生局時代に知り合った医学者の高木友枝は、台湾でのペストやマラリア撲滅を実現するために後藤が招聘し、台湾総督府医学校校長および設立した総督府研究所の所長に据えた。
 
後藤は『一に人、二に人、三に人』『最大の経済対策は人を育てることにある』との言葉を残している。
 
関東大震災後に内務大臣兼帝都復興院総裁として東京の帝都復興計画を立案し、現在の東京の原型を築いた人物として、あまりにも有名だ。「有言実行型」で、大胆かつ実力のある大指導者であった。
 
三島通陽の『スカウト十話』によれば、後藤が倒れる日に三島に残した言葉が、私は好きだ。
『よく聞け、金を残して死ぬ者は下だ。仕事を残して死ぬ者は中だ。人を残して死ぬ者は上だ。よく覚えておけ』であったという。

2023年09月01日(関東大震災から100年目の日)

監 修  清水 一郎   
     英知コンサルティング株式会社  
     代表取締役 社長兼CEO Executive consultant

     
     
<専門分野>
     経営戦略、営業戦略、マーケティング、間接部門改革、法務、財務、金融、
     マクロ経済、会計、税務、監査、IPO、資産運用、不動産、組織、人事、
     人材育成、コーチング

     <職歴>
     ・大蔵省(現 財務省/官僚)
     ・等松青木監査法人(現 有限責任監査法人トーマツ
      /会計士補・公認会計士・税理士)
     ・東証JQ 精密機器(常務取締役 兼 CFO)
     ・東証JQ 小売(常務取締役 兼 CFO)
     ・東証一部 商社(代表取締役副社長 兼 COO)
     ・当社 代表取締役社長兼CEO(現任)

     <学歴>
     ・
東京大学大学院 法学政治学研究科 博士前期課程・博士後期課程 修了
     ・一橋大学大学院 経営管理研究科  博士前期課程・博士後期課程 修了
     ・慶應義塾大学大学院 経済学研究科 博士前期課程 修了
     ・早稲田大学大学院 人間科学研究科 博士前期課程 修了

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